最近の記事
5月1日~お荘厳のお仕事とは…
青空をこいのぼりが元気に泳いでいます。
さて、お家のお仏壇をお花やお灯明、お供え物で美しく整えることをお荘厳と言いますが、あなたのお宅のお仏壇は美しくお荘厳されているでしょうか。
先日、仏師・江里康慧先生とお会いするご縁をいただきました。仏師とは仏像をお作りになる方のことで、先生は現代仏教美術を代表する仏師です。
また、奥様の江里佐代子先生は既にお亡くなりになりましたが、金銀をのばし広げて細かく切った薄い板を、仏画や仏像に張り付けて美しい文様を作り出す截金の技法で人間国宝に認定された方です。
京都の先生の工房で、様々な仏像や優美な截金の作品、その作業風景を見せていただきました。
名刺代わりにと、お二人が以前、展覧会をされた折の記念誌をいただき、その中に、奥様の佐代子先生のお言葉がありました。
「お荘厳の仕事は、たんに技術というのではなくて願い、祈り、というもので、その気持ちなくしてはできない仕事です」
仏さまのお姿をお作りする、あるいは仏さまの周囲をお飾りするお仕事は、そこに仏さまをお敬いする真心や祈りの心がなければできないと言われます。
「仏さまに出遇えた時の歓喜の光、それを最も適切に表せるのが金だった」
截金をはじめ仏具には美しい高価な金が使われますが、それは仏さまの救いや教え、仏さまにわが身が常に照らされていることの最高の喜びを表すためだとおっしゃっています。
このお言葉は、私たちの日々のお仏壇のお給仕、お荘厳にも通じることではないかと思います。
お仏壇のお給仕は、私が仏さまをお敬いする真心やその教えに出遇えた喜びをを形に表すことに他なりません。
あなたのお宅のお仏壇はいつも美しく整えられていますか。とても大切なことであります。
5月1日~お荘厳のお仕事とは… | 2016年05月04日【260】
3月1日からの4月16日の法話について
3月1日、16日、4月1日、16日のテレホン法話は、本願寺出版社発行の『拝読 浄土真宗のみ教え』の中より、お伝えいたしました。
3月1日からの4月16日の法話について | 2016年05月04日【259】
2月16日~心のどこかにとどめて
今年の冬は寒暖の差が激しく、温度差に体を合わせるのが大変です。
さて先日、新聞の記事で、九年前に幼いお嬢さんを亡くされたお父さまの記事を見ました。
ご存命であればお嬢さんは今年が成人式だそうで、私の次女と同学年ということも知りました。
私の次女は先般、成人式を迎えましたが、その記事を読んで少し考えさせられました。
そのお父さまのお宅には、約一年前から、亡くなられたお嬢さん宛てに振り袖や記念撮影の案内が届いたそうです。
そのお父さまにとって、お嬢さんの記憶はお亡くなりになった十歳で止まったまま。振り袖姿を想像しようとしてもできなかったそうです。案内を手にしたお父さまの言葉にはできないむなしさが伝わってくるようでした。
一方、早々と母親が振り袖を注文し、記念写真の早撮りを済ませた我が家では、次々に届く振り袖や記念写真の案内を、よくもまあ次々に送ってくるものだと、封を開けることもなくゴミ箱に捨てていました。
やむを得ないことかもしれませんが、世のなかには振り袖や記念写真の案内が届いても、子どものその姿を想像することすらできないご家庭があることを考えなかった自らを、その記事を通して内省したことです。
またそのことは案内を送る側にも言えるかもしれません。
様々な情報を元に案内は送られるのでしょう。しかし千に一、万に一、その宛名の方が事故や病気によって既にこの世におられない。あるいはその案内によって悲しみを深める方がおられるかもしれないことを、心のどこかにとどめておくことも大切かもしれません。
軽々しい同情は慎むべきでしょうが、常に広い想像心をもって考え行動することも忘れてはならないでしょう。
2月16日~心のどこかにとどめて | 2016年02月15日【258】