こころの電話

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8月1日~ご先祖はいつでもわたしの前に…

 梅雨が明けたというのに、山口では大雨、群馬では竜巻と、大変な気候です。被災された方々も多く心が痛みます。

 さて、今年もお盆がやってきます。各家庭では、お仏壇をお掃除してお飾りを整え、またお墓参りにも出向かれることでしょう。

 一般に、お盆にはご先祖がこの世に帰ってこられて、それを私たちがおもてなしする期間と思っておられる方も多いと思いますが、浄土真宗ではそのような受け止め方はしません。なぜならば、ご先祖はお盆に期間に限らず、いつでも私たちの前に形を示しておられるからです。

 親鸞さまは、この世のいのちを終わられお浄土においでになった方は、阿弥陀仏と等しきお姿をした諸仏となっておられるのですよとお示しくださいました。

 つまり、ご先祖方は、お仏壇の中心におられる阿弥陀さまと同じお姿をされているということです。いつも阿弥陀さまと同じお姿でお仏壇の中心にいらっしゃるのです。

 阿弥陀さまの右手・親指と人差し指で○を示す形は施無畏印といい、わたしたちの恐れや不安を取り除き、本当の安心を与える姿です。左手・手のひらをこちらに向ける形は与願印といい、私たちの悩みや苦しみ、喜び悲しみのすべてを受け止めてくださる姿です。

 蓮の上に立たれる姿は、真実の安らかなる世界から、いつでもどこでも私を救おうとこちらに来てくださる心を表しています。頭の後ろの後光は、私たちを救おうとする仏としての尊い願いが光に表されているのです。

 これらが仏さまの尊いお姿であり、お盆の時のみならず、いつでも阿弥陀さまと一緒になって、お仏壇の中心におられるのです。

 お盆には、家族でお仏壇をきれいにお掃除しましょう。そして、お仏壇の阿弥陀如来のお姿を拝観しましょう。

 お姿の一つ一つに、私たちを必ず救わんとする仏さまの願いが示されています。

8月1日~ご先祖はいつでもわたしの前に…2009年08月16日【101】

7月15日~人間のつとめとは…

 梅雨が明け、本格的な夏到来です。

 さて先日、ご法事でYさんのお宅に出向いた時、東京から久しぶりに帰ってこられた同級生の息子さんとお会いしました。中学校の卒業式以来の再会です。互いに、しばらくの間にいい年齢になったのものだと言葉を交わしました。

 Yさんは私の頭を見て、「おお、白髪が出てきてるね」と言いました。その言葉に、私は彼の頭を見て返す言葉がありませんでした。なぜなら、彼の頭には髪がほとんどなかったからです。

 また、メガネをかけてお経を読む私に、Yさんは、「もしかしてそれ老眼鏡か」と聞きました。まさしく私は老眼鏡がないと、お経も新聞も本も読むことができません。お互いに、「年を取ったね」と語り合うことでした。

 私たちよりはるか先輩の方々からすると、まだまだ若い世代かもしれません。しかしながら、五十歳を前に、少しずつですが老いの兆候は体の至る所に表れつつあります。

 西本願寺の御門主さまは、人間の老いということについて、「老いゆくさま、さらには死んでいくさまを、子や孫をはじめ周囲の人々に知ってもらい、考えてもらうというのは人間のつとめではないのでしょうか」とおっしゃっています。

 そして、「『いのちながらえば老いゆくのが人間だ、おまえたちは将来、老いをどう生きるのか、私はこのように生きているぞ』と子や孫に示す。その世に無駄なものや無意味なものはない。老いも尊いということを伝える大切な役目です」と申されています。

 「老いて死んでいく姿を見せていくことが自分のつとめ」と聞かされたときに、老いていくことも決して無駄なことではないと思えます。

 Yさんも私も、今からさまざまな老いや病いを経験し、苦しんだり悩んだりすることがあることでしょう。しかし、心の片隅にこの御門主さまのお言葉をしっかりととどめておきたいと思います。

7月15日~人間のつとめとは…2009年07月17日【100】

7月1日~今の若い世代の人たちは…

 梅雨のただ中、連日、雷が雨空に鳴り響いています。

 さて、仏教の禅宗でよく使われる言葉に、「脚下照顧」という言葉があります。脚下とは自分の足元、照顧とは照らし顧みると書いて、自分の姿と心を顧みるという意味で、自分が今どのような立場にいるのかよく見極めて事に当たりなさいということです。

 先日、この言葉を味わう出来事がありました。ご門徒のYさん宅へ、ご主人の三回忌のご法事に出向いたときのことです。

 いつもの通り、お経とご法話を勤めた後、会食になり、Yさんの子ども・三人姉妹のご主人方は皆四,五十代、私と同じ世代の方々。自ずと話題が一緒になりました。テーマは、「今の若い世代の人たちは常識を知らん」ということです。

 一人のご主人は、「今の若いもんは、荷物のくくり方さえ知らない。それくらい常識なのに」とおっしゃいました。

 一人のご主人は、「今の若いもんは、仕事場で自分の置かれた立場や、相手を思いやる心、また責任感がない」とおっしゃいました。

 私も負けてはいません。「今の若い人たちは、上司から言われないと仕事をしない。私たちの頃は自分から進んでしてたものだ」と言いました。

 世代が同じ私たちの、「今の若い者たちの批判オンパレード」です。

 しかし、その時です。会食で私の隣に座っておられた年配の方が、私たちに向かって、「だけど、そんな若者たちを育てたのはお前たちであり、お前たちの家庭や社会じゃないのか」と一言おっしゃいました。

 一瞬その言葉に、私たちは一様に口を閉ざしました。確かにその通りです。私の子どもも既に大学生、若い者のうちに入ります。私たちがそろって批判をした若者の中に入ります。

 親である自分たちのことはさておいて、若者の批判を一方的にしてみても、心にはむなしさだけが残ります。脚下照顧~自分の姿と心を顧みなければならないのは、親世代の私たちの方かもしれません。

7月1日~今の若い世代の人たちは…2009年07月02日【99】

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