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11月1日~美しい流星確かに見えた!
境内で元気に遊ぶ子どもたちの声に、心が弾む思いです。
さて、先月十月十九日から二十三日まで、夜空にオリオン座流星群が現れました。この流星群はハレー彗星が地球に接近したときに残すちりによるもので、特に二〇〇六年以降、出現の機会が増えているそうです。
私も、小学生の息子にせがまれて、毎日夜十時から三十分ほど、近くの公園に出向いて夜空を眺めましたが、全部で十三個ほどのキラキラと輝く流れ星を目にしました。
その流星について、目の不自由な女性からのメールが、十月二十三日のNHKラジオで紹介されました。
「今年もラジオでオリオン座流星群が現れるということを知りました。弱視の私は、ああ今回もまた流星を見ることはできないのだなと、あきらめていました。しかし、違いました。今年は見ることができました。ラジオを聞いていると、全国のリスナーの方から、『きれいな流星を見ました』というたくさんの喜びや感動のお声を耳にして、私にも美しい流星が見えて、とてもうれしい気持ちになりました」
おおよそこのような内容でした。私はこのお便りに心から感動しました。自分の目は不自由だけれども、多くの方々の喜びや感動の声を心で受け止めたとき、私にも確かにキラキラとした美しい流星が見えたとおっしゃるのです。
何と純粋な心でしょうか。雲霧一つない美しく透き通った心でしょうか。
と同時に、私自身、直接美しい流れ星を見ていながら、本当は見ていなかったのではないかと、恥ずかしく思えました。目が見えることを当たり前のように思い、その美しさや輝きを本当に見ようとしていなかったのではないか、心で受け止めようとしていなかったのではないか、そう内省することでした。
私には、この女性のような透き通った心を持つことは難しいかもしれませんが、この美しい心の声を聞かせていただくことによって、また一つ、尊い学びをさせていただきました。
11月1日~美しい流星確かに見えた! | 2009年11月06日【107】
10月15日~その香り一瞬にして…
十月も半ばを過ぎて、朝夕はかなり冷え込むようになりました。
さて、私は、毎朝六時前から約四十分かけて、六キロほどジョギングをするのが日課となっています。
空気が澄んだ秋の早朝に走るのは、大変すがすがしく、そしてさまざまな香りが漂っています。
道路脇に咲くキンモクセイは口では表現できないほどかぐわしく、また朝露に濡れる緑からは、体の中が洗われるほどすがすがしい香りがします。
牛を飼っておられる家のそばからは牛の糞の香りがしますが、これも決して鼻をつくようなものでなく、何とも懐かしい思いさえします。
どの香りもそれぞれに特徴があって、それぞれによい香りですが、それが車道に出ると一変します。車の排気ガスや工場から出る煙で一瞬にしてそれらの香りはかき消され、またそれらと混ざって鼻をつくような香りに変わってしまいます。
私は人間の世界も同様なのかもしれないと思いました。人も一人ひとり、それぞれにこの世にいのちを恵まれ、それぞれ毎日一生懸命生きています。それぞれに性格を持ち、さまざまな環境の中で生活をしています。早朝のいろんな香りといっしょで、人も皆それぞれにすばらしい性格を持ち、いのちを生きています。
ところが、多くの人々が集まると、また多くの機械に取り囲まれると、さまざまな人間関係や環境の中で、その一つ一つのいのちの素晴らしさがかき消されてしまいます。一人ひとりの素晴らしさや特徴が濁されて、見えにくくなってしまいます。
しかし、私が毎朝走る秋の早朝のように、その一人ひとりの素晴らしさを教えてくださるところがあります。それが、お仏壇です。
朝にお仏壇の前に座り、南無阿弥陀仏とお念仏を申しお参りします。夕べにまたお念仏を申しお参りをします。
「あなたのいのちはかけがえのない大切ないのち、同様にあなたの周りのいのちも等しくかけがえのない尊いいのち」。そんな仏様のお声が聞こえてきます。
秋のすがすがしい早朝に、仏さまの尊いはたらきを味わうことです。
10月15日~その香り一瞬にして… | 2009年10月17日【106】
10月1日~運動会やイベントのシーズンに…。
高い空に鰯雲が浮かんでいます。
さて、一ヵ月ほど前の話です。お仕事で、鹿児島市内にある西本願寺鹿児島別院に出向きました。
会議が行われる会場に入る前に、本堂に行き阿弥陀様にお参りをしていると、私を遠くから呼ぶ声がしました。それは、私が別院に勤務しているとき、よくお参りに来てくださっていたMさんの声でした。
久しぶりにお会いし、わずかな時間でしたが、お話をすることができました。 Mさんは、「私はもう九十になります。お陰さまでまだこのようにして自分でお参りに来ることができます」と、ご高齢になってもお寺参りができることを、大変喜んでおられました。
その後のことです。久しぶりに、私と打ち解けたMさんは、「今年は、桜島が久しぶりに噴火して、よく灰が鹿児島市内に降ってきます。洗濯物も車も汚れます。町を歩くと灰にまみれて大変、時にはあっちに行ってくれればいいのにねぇ」と、おっしゃいました。
「あっちってどっち?」と私が聞くと、Mさんは、「そりゃ大隅半島の方よ」と言われました。
「Mさん、大隅には私の家があるのだけど…」。それを聞いてMさんは、「あっ、恥ずかしい」と、慌てて口を手で押さえられました。Mさんは、私の自宅が大隅半島にあることを忘れていらしたのでした。Mさんも私も大笑いしました。
しかし、Mさんだけではありません。私も同様です。
洗濯物や車が汚れてしまう火山灰が降ってくると、なぜこっちに降ってくるのか、違うところへ降ればいいのにと、つい思ってしまいます。
テレビで、大型台風がこちらへ向かってくる予報を見ると、つい、他の地域へそれてほしいと思い、それを口にします。
人間は、自分の都合によって、つい自分さえ、自分の地域さえよければいいという心が沸いてきてます。
秋は、運動会やイベントのシーズンです。自らの心や言動を少しふり返ってみましょう。
10月1日~運動会やイベントのシーズンに…。 | 2009年10月01日【105】