9月16日~そのままでいいではないか
秋の涼風が待ち遠しいこの頃です。
さて、日本昔話の「ウサギとカメ」は有名な童謡です。競争で油断をして昼寝をしたウサギにコツコツと休むことなく走ったカメが勝利するお話です。
学校での試験勉強や部活動において、また仕事において通ずることがあったように思います。自分よりも成績優秀な人はたくさんいますし、スポーツで輝かしい結果を残す人もいます。そのような人と自分とを比較する気持ちは誰しも生じるものです。
理想の自分に近づくために、コツコツと最後まであきらめず、油断することなくやり遂げることの大切さを、「ウサギとカメ」のお話から学びました。
しかし、仏様の教えを聞きはじめて改めてこのお話を読んだときに、新たな視点に気が付きました。それは、ありのままの大切さです。
かけっこに勝利したカメは、決してウサギよりも足が速くなったわけではありません。ウサギになれるように特訓したわけでもありません。カメ自身は何も変わってはいません。カメはカメのままに一生懸命走り続けただけです。
仏教では、仏様がいらっしゃるお浄土はすべての命が比べられることなくそのままに光り輝く世界として説かれています。その一方で、私たちが暮らす娑婆世界は、比較の世界とされています。
自分と他人を比較して劣等感を抱いたり、逆に、少しでも他人より自分に秀でたところがあれば、心の中に驕り高ぶりまで生まれます。それが娑婆世界で生きる私たちの姿です。
だからこそ、比べたり比べられることのない、一つ一つの命が喜び輝く世界をお示し下さった教えが仏教です。
成績優秀である必要はない。運動ができなくてもいい。ありのままの自分でいることが何よりも尊い生き方であることを、繰り返し仏法聴聞を重ねていく中で、気付かされた新たな物事の見方でありました。
これからも仏様のみ教えをお聞かせいただく日々を大切に歩ませていただきます。
2025年09月16日【482】