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2月16日~できる人ができる支援を…

 うららかな日和に春の動きを感じます。

 さて、二月六日にトルコとシリアで発生した大地震では、亡くなった方が四万三千人以上と伝えられ、その数はまだ増えつつあります。

 またこの地震で被災した子どもたちは七百万人以上と言われ、親兄弟や家を失った子どもたちも多く、路上や学校、バスターミナルや橋の下で寝泊まりしていて、気温が氷点下まで下がり、厳しい天候にさらされていると伝えられます。喫緊の支援が求められています。

 被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

 宗教学者のひろさちやさんが、昔インドを旅して出会った出来事を本に書いておられました。

 ひろさんが道に迷って、インド人に道をたずねたそうです。

 すると、その目的地はとてもわかりにくいところだったようで、そのインド人は親切に目的地まで連れて行ってくれたそうです。

 約四十分ほどかかったそうで、インド人にとっては往復で九十分かかりました。 ひろさんはその親切がとても嬉しくて、少しばかりのお金をお礼として渡そうとしましたが、彼は受け取りません。

 そして、彼はこう言ったそうです。

 「私はあなたに親切にしました。この次、あなたは誰かに親切にしてあげてほしい。それが私に対するお礼となります」

 ひろさんは、その言葉を聞いて涙が出るほど嬉しかったと述べておられ、これが施しの心であると書いておられます。

 日本も阪神淡路大震災や東日本大震災で世界中から、たくさんの親切をいただきました。鹿児島も平成五年の八・六水害ではたくさんの親切をいただきました。

 できる人が、できる支援を、トルコやシリアの方々へさせていただきましょう。

2月16日~できる人ができる支援を…2023年02月18日【422】

2月1日~最悪のシナリオは既に…

 厳しい寒さに、庭の木々が春待ち顔をしているようです。

 さて、食品や生活用品などあらゆる物が高騰する中で、物価の優等生と言われる卵までも値上がりをして、その一因に鳥インフルエンザがあるようです。

 鳥インフルエンザの中で、高い致死性があるものを高病原性鳥インフルエンザといい、鶏の致死率は七十五パーセントに達するそうです。

 鶏舎などで感染が確認されると鶏舎内のすべての鶏が殺処分され、農場の閉鎖や消毒がされます。

 今季、殺処分された鶏などは全国で既に一千万羽を超え、鹿児島県内では百三十四万三千羽になるそうです。

 数羽感染しただけで農場内の鶏をすべて殺処分してしまうことは、食品衛生上、また感染拡大を防ぐためだけと思っていましたら、そうではないことが先日、南日本新聞に書かれていました。

 鳥インフルエンザウイルスは、感染した鶏やふんなどに直接触れなければ、人にはうつりにくいのですが、ウイルスは変異するもので、感染が拡大すれば、他の動物や人間と、ウイルスが接触する機会が増え、新型の危険なウイルスが現れる可能性があります。

 ウイルス感染が広がり、人から人への感染力が強まり新型のインフルエンザになった時、最大で人口の四分の一にあたる三二〇〇万人が感染し、六四万人が死亡すると、日本政府が想定していることも、新聞には書かれていました。

 これらのことを知りますと、たくさんの鶏が殺処分されていることは、最終的には人間の命を守るための行為と言えます。

 テレビや新聞で時折、感染による大量の鶏の殺処分の報道があり、私たちは慣れっこになっているような感がありますが、私たち人間の命を守るために、たくさんのいのちが失われていることを、心にとどめておきたいと思います。

 新聞では、もしもの人間への感染拡大を最悪のシナリオと表現してありましたが、鶏たちにとってはもう、最悪のシナリオのただ中です。

2月1日~最悪のシナリオは既に…2023年02月01日【421】

1月16日~お育てにあずかる

 今年の鏡開きも終わりました。ぜんざいを召し上がったでしょうか。

 さて、浄土真宗には「お育てにあずかる」という言葉があります。

 これは仏さまのはたらきによって、凡夫である私が、仏さまのみ教えを聞く身に育てられていくことです。

 これを、一般的な受け止め方で言うと、人として生きていく上で、忘れてはならない大切なことを、教えられ育てられることでありましょう。

 この度、九十六歳でお浄土にお参りになったSさんも、私を育ててくださったご門徒のおひとりでした。

 今から二十年ほど前までは、ご法事や通夜、葬儀も、集落の報恩講も、自宅や地域の公民館で行われていましたが、Sさんは、私が車で到着する頃に、いつも道路脇で直立不動で待っていてくださいました。

 そして、停車した車から衣の入った私のカバンを取り出して、法要の会場まで持って下さいます。

 喜寿を超えた人生の先輩にカバンを持ってもらうなんてとんでもないと、私が自分で持とうとすると、「お坊さんのカバンを持つのは門徒の私の仕事です」と、渡そうとはされません。

 ご法事の最中は、凜とした姿でお経や法話を聞かれ、法事を終えて私が帰ろうとすると、またすぐさまカバンを持って車まで運び、道路脇で最後まで見送って下さいました。そして、その姿は、炎天下の時も、寒風吹く厳冬の時も変わりませんでした。

 Sさんは、言葉にこそ出されませんが、「今日も仏さまのお勤めをよろしくお願いしますよ」という心が、その自然な振る舞いの中に現れていて、その姿に支えられて、私はいつも、せいいっぱいのお勤めをすることができました。

 この度、そのSさんがお浄土にお参りになりました。

 お育てをいただいて有り難うございました。またお浄土で…と、感謝のお念仏でお見送りをいたしました。

1月16日~お育てにあずかる2023年01月16日【420】

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