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6月16日~「ありがとう」に込めたもの

今月6月3日、ミスタープロ野球の名で知られる、長嶋茂雄さんが御年89歳にて往生されました。その選手時代のプレーや監督時代の活躍、残された数々の功績は世代を超えて、多くの人々の心に刻まれています。

 私も学生時代に野球をしてきたこともあり、特に、長嶋茂雄さんと現在福岡ソフトバンクホークス会長の王貞治さんが揃ってテレビに映る姿は、大変印象深いものでした。

 現役時代にはON砲と称された、読売巨人軍の3番バッター王、4番バッター長嶋の、二人が連続で打ったホームランの数は106本を記録しています。また現役を引退された後に実現した、ON対決と呼ばれる、監督長嶋茂雄読売巨人軍対監督王貞治福岡ダイエーホークスの日本シリーズの試合は、いつまでも語り継がれることでしょう。

 そんな長嶋茂雄さんとのお別れに、王貞治会長が残されたコメントが印象的でした。

 「ありがとうございましたという言葉ですべては表せると思います」

 王さんは、長嶋茂雄さんと同じ時代に生まれ、同じ巨人軍でプレーをし、共に野球の一時代を築き上げました。良き先輩、仲間として、時にはライバルとして追いかけ、いつしかONと称されるようになり、憧れの長嶋茂雄さんと肩を並べるようになりました。

 王さんは、長嶋さんのと思い出の一つ一つを顧みて、それは「ありがとう」の言葉一つですべてを表せるとおっしゃいました。

 「ありがとう」とは、「有ることが難しい」と書きますが、これは言い換えれば「決して当たり前ではない」ということです。

 王さんは、長嶋茂雄さんとの出会いとかけがえのない日々に、そして、決して当たり前ではなかった尊いご縁に対して、「ありがとうございました」の感謝の言葉一つで表されたのだろうと感じました。

長嶋茂雄さんが生涯をかけて伝えて下さった、野球への熱い思い願いは、王さんに、そして日本全国の多くの人々に届けられています。

 「ありがとうございました」

 その言葉でもって、私もお見送りの言葉とさせていただきます。

6月16日~「ありがとう」に込めたもの2025年06月16日【476】

5月16日~不安抱える私を見抜かれて・・・

 新縁がまぶしい季節となりました。

 さて、浄土真宗のご本尊である阿弥陀如来の、救いのはたらきを「お手回し」と表現されます。
 
 これは、子育てをする母親が、子どもが思うよりも先に、子どものことをいろいろと心配して、その身の回りのことを準備してくださるように、私があれこれ願うよりも先に、阿弥陀さまがこの私を案じて救おうとはたらいてくださるから「お手回し」と言うのです。

 私がまだ学生で、この浄土真宗のみ教えと全くご縁がなかった頃、神社でおみくじを引くことがよくありました。初詣、大事な試験や試合の前、不安な気持ちを抱えている時に行きました。そこで大吉が出れば、どこか心がスッと楽になる感覚を今でも覚えています。

 しかし、「どうか一年健康に暮らせますように」、「どうか失敗しませんように」と、どれほど願い、大吉を引き当てようとも一瞬の喜び、ひとときの安心でしかなかったことも覚えています。時間が経てば、また不安な気持ちが蘇るのです。そして再び安心を求めて、何かにすがろうとする。その繰り返しであったように思います。

 私たちは、どこまでも不安と隣り合わせの人生を歩んでいます。時に神様、仏様に頼りたくなる気持ちも生まれます。

 しかし、私たちの日常を省みると、常に物事に一喜一憂し、感情が目まぐるしく変化する迷いの日暮らしを送りがちです。

 そのような私の姿をご覧になられて、まこと真実の教えをより所にして心豊かな人生を歩めるようにと、私が願うよりも先に、私を案じ願い続けてくださっている仏様が阿弥陀如来です。私が手を合わせ願う前に、もう既に阿弥陀さまが、私を導こうと手を施して下さっています。

 不安な気持ちはどこまでも消えることはありませんが、その心に阿弥陀如来がずっと寄り添っていることに感謝いたしたいと思います。

5月16日~不安抱える私を見抜かれて・・・2025年05月16日【475】

5月1日~いのちあるうちに種まきを…

 明るい光があふれる五月となりました。

 さて、お寺のお手洗いにはこのような詩が掲示してあります。

 はきものをそろえると 心もそろう
 心がそろうと はきものもそろう
 ぬぐときにそろえておくと はくときに心がみだれない
 だれかがみだしておいたら だまってそろえておいてあげましょう
 そうすればきっと 世界中の人の心もそろうでしょう

 これは長野県の禅宗のお坊さんである藤本幸邦先生の詩で、いつも私自身の心の有り様を問い直すために、掲示させていただいています。

もう一つ、藤本先生の詩を紹介します。

 よい種をまこう よい種をまけば よい花が咲き よい実が実る
 よい種をたくさんまこう
 地球が 花につつまれ みんなのしあわせが たくさんみのるように
 よい種を もっともっとまこう
 いのちのあるうちに たくさんまいておこう

 藤本先生はお坊さんですから、よい種とは仏さまの教えのことでありましょう。 仏さまの願いは、地球上のいのちあるすべてのものが、平和であることですから、よい種である仏さまの教えがたくさんまかれるということは、地球上にそれだけ平和の花がたくさん咲くということです。

 ウクライナやパレスチナ・ガザ地区をはじめ、世界の至る所で戦争や紛争が止むことがありません。

 藤本先生は、そのことを遠い国のこととはせず、自分の身近なところから、自分のできるところから、平和の種をまくことの大切さを教えてくださっています。 私自身にできる平和の種まきとは何でしょうか。

 風薫る五月に、そしていのちのあるうちに、取り組まねばなりません。

5月1日~いのちあるうちに種まきを…2025年05月02日【474】

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