最近の記事
6月1日~まっすぐに伸びたい彼らから学んだこと…
早苗田が広がる季節。苗からすくすくと成長してやがて青田となります。
まっすぐに伸びたい。成長したいのは、植物も動物も人間も一緒かもしれません。
先日、大阪西福寺の前ご住職・藤大慶先生から『丹波発 次の生き方としての「田舎」』(あうん社)という本をお送りいただきましたが、その中に、送り主である藤先生の活動が紹介されていました。
藤先生は、十八年前より京都府綾部市に児童心理治療施設「るんびに学園」を開園。以来、虐待や発達障害などで苦しんでいる子どもたちのよみがえりのお世話をなさっている方です。
本の中に、その子どもたちをお世話する心構えが紹介されていました。
①相手を信じること~誰でもまっすぐに伸びたがっている。そうなれる力を持ってる。②皆かけがえのない生命を持っている~一人も見捨てない。③相手の苦悩・心情は当人以外はわからない~だから思い込みを捨てて、わかろうとしよう。④押しつけは拒否される~してやるのではない、させていただこう。⑤間違っていたら素直に謝る。⑥十分なことはできなかった~すみませんの心を大切に。⑦相手のためと思いながら、私の心の中で自己中の心が噴き上がる~恥ずかしいという気持ちを忘れずに。⑧当たり前のものは何もない~何事も有り難い。⑨目に見えない陰の恩を感じる~お陰さまの心。⑩すぐに効果は出ない~願い続けることの大切さ。⑪絶対に正しいことなどあり得ない~探し求める。⑫救う者が救われる~活かす者が活かされる。
藤先生が四十数年、苦悩する青少年にかかわってこられて、彼らから学んだことだとおっしゃいますが、相手が素直になってくれるためには、こちらから一方的に注意しても、厳しく叱っても通じない。私が変わることの大切さを教えてくださいます。
様々な立場におられるすべての人に通じることかもしれません。
6月1日~まっすぐに伸びたい彼らから学んだこと… | 2022年06月01日【405】
5月16日~世界中に心優しい人々が…
朝夕の寒暖差が厳しい毎日です。
先般、『南日本新聞』の「ひろば」に、東谷山小2年のI君が、一年生の時に無人のミカン売り場で五千円を拾い、I君が困っていると、近くにいた女子中学生と、通りかかったおじさんがI君に声をかけて、そのおじさんがI君の代わりに警察に五千円を届けてくれたそうです。
結局その落とし主は見つからず、後日、警察の方がI君に、「よく見つけて届けてくれたね」と、五千円はI君のもとに届けられ、I君はそのお金をウクライナの困った方々へ届けたという記事が掲載されていました。
また、先日はNHKのラジオ番組で、宮城県の女性の方が、車で運転中、赤信号で止まった時に、目の前の横断歩道を足が不自由な男性がゆっくりと横断してきたそうです。その歩き方が3月末になくなった自分のお父さんと似ていたそうで、転ばないといいな、信号が青のうちに渡りきれるようにとの思いで、その姿を見ていたそうです。
片側二車線の大きな交差点で、もう少しで渡りきれると思っていた時に信号が赤に変わり、その男性は疲れてしまったのか、あと少しのところで止まってしまったそうです。
その女性も、隣の車も、後ろに連なる車も、車を前に進める人はなく、クラクションを鳴らす車は一台もなく、その男性が渡りきるのを見守り、渡り終えた後、車は皆ゆっくりと動き始めたそうですが、その女性はその後車を走らせながら、涙が止まらなかったということでした。
ウクライナの悲惨な状況が毎日に届けられる中で、心が温まる小さな報道でした。
作家の村上春樹さんは、「戦争は年寄りが始めて、若者が命を落としていく悲しむべきものだ」と述べられましたが、ウクライナにも、ロシアにも、世界の至る所に、このような心優しい小学生や女性をはじめ、多くの人々がたくさんいます。
一刻も早く戦争が終わることを願うばかりであります。
5月16日~世界中に心優しい人々が… | 2022年05月22日【404】
5月1日~「大きな物語」と「小さな物語」
風薫る季節となりました。
さて、お寺では毎朝、仏前でお経をお勤めをして、そこに説かれている教えを学ぶのですが、仏さまのことも、お浄土のことも、ご修行のことも、そこに説かれる内容がとてつもなく広く長い、いわば非常識な内容だと、つくづく思うことがあります。
そのことについて、現在「NHKこころの時代・歎異抄にであう」の番組で、宗教学者の阿満利麿先生が、わかりやすくお話しくださっています。
阿満先生は、その私たち人間の常識を越えた仏さまのみ教えを「大きな物語」とたとえておっしゃいます。
一方で、私たちの一人ひとりの日常は、「小さな物語」を繋ぎながら生きていると…。子どもの成長や、家を建てたり、旅行をしたり、あるいは親の介護をしたり、自分の老後を考えたり、それぞれの人生設計を立て、いわば一つ一つの小さな物語を繋ぎながら人生を送っていきます。
しかし、人生にはまさかという、思わぬ出来事がだれにでも起こります。突然の病や事故など、自分自身にも、家族にも、いつ、どこで、どんなことがあるかわからないのが人生です。
「なぜ私に、なぜ私の家族に、このようなことが起こるのか」「なぜ、このような悩みを背負わなければならないのか」。常識では解決のできないような苦しみや不条理を経験することがあります。
阿満先生は、仏さまの「大きな物語」とは、そのような人間と人生に、究極的な意味を与えるものであるとおっしゃいます。そして、常識では解くことができない人間の直面する人生の問題に、「大きな物語」は常識では考えられないような時間軸を使って、あるいは常識を越えた智慧をもって、人間の抱える問題を解決へと導いてくださるとおっしゃいます。
なお番組は、9月までの第三日曜日朝五時から、再放送は同じ週の土曜日午後一時から、NHKのEテレで放送されます。ぜひご覧ください。
5月1日~「大きな物語」と「小さな物語」 | 2022年05月01日【403】