こころの電話

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9月15日~最後の最後まで…

 迷走台風がただ今九州をめざしているようです。防災の準備を整えましょう。

 さて、九月中旬、ご門徒のMさんが、お亡くなりになりました。Mさんは、覚照寺の仏教婦人会の役員を長年勤められ、お念仏の教えをよく聴聞され、そして有縁の方々にそれをお伝えになった方です。

 お葬儀の時、ご長男が、「母は、お寺にお参りするのが生きがいでした。いつもお寺での出来事を楽しそうに話してくれていました」と、話されましたが、まさにその通りの方でした。

 九月初旬に、入院されたことを聞き、早速仏教婦人会の役員の方々とお見舞いに行きました。大手術の後で、ベットの上で身動き一つできない姿で一生懸命呼吸をするお姿がありました。

 役員一人ひとりが励ましの声をかけ、私も耳元で、「Mさん、いつでもどこでも何があろうともナンマンダブツよ、お念仏よ」と話しかけましたが、Mさんは私の声に大きく頷いて、「ナンマンダブツ、ナンマンダブツ」とお念仏を申されました。Mさんの息が絶えたのは、それから約一週間後のことでした。

 お葬儀に際し、西本願寺の即如ご門主のご令室で、仏教婦人会総連盟の総裁である大谷範子様より弔辞が届きました。

 その中に、「宗祖親鸞聖人がお示しくださった浄土真宗は、阿弥陀如来さまのご本願のはたらきである南無阿弥陀仏をいただく身となって、お念仏を申す人生を歩み、この世の縁がつきるとき、お浄土で仏さまにならせていただくみ教えです。そして、先だって往かれた方々は、私どもが悲しみを乗り越えて生きることができるよう、常にはたらきかけてくださいます」とありました。

 Mさんのお姿は、まさしく南無阿弥陀仏をいただく人生でした。そして、最後の最後まで、お念仏を申す尊い姿を私たちに見せてくださいました。すばらしきご縁をいただいたことに、心から感謝したいと思います。

9月15日~最後の最後まで…2008年09月16日【80】

9月1日~沖縄でのある出来事…

 先月末から、朝夕めっきり冷え込んで、はや秋の気配です。

 さて、私事ですが、八月初旬に子ども二人を連れて沖縄に旅行に行きました。お寺、幼稚園、保育園をお預かりしていますと、おおよそ一年中休みはありません。日頃父親としてままならない私の、子どもたちへの精一杯のサービスです。

 二泊三日の旅行でしたが、子どもたちは沖縄の青い海を満喫し、最終日に数年前に出来たという「水族館」を見学していた時のこと、私の携帯電話が鳴りました。

 電話の内容は、東京から依頼されていたお仕事の件で、十数分間やりとりがありました。私は、そつなく対応しながらも、「せっかくの休暇なのに、はるばる沖縄までなぜ電話をしてくるのか」、「それほど急ぎの内容でもないのに、わざわざここまで電話をして…」と、心の中ではいささか不満でした。

 そして、その電話を切ったときです。隣にいた若い女性二人が、「園長先生こんにちは。いつもお世話になります」と笑顔であいさつをされました。私は驚いて、「どちらさまですか」と聞くと、鹿屋市の幼稚園の先生たちで、休暇を取って沖縄旅行に来られたとのことでした。

 「有り難う。楽しんでくださいね」とその場を別れたのですが、私はその先生方の姿勢がすばらしいなと思いました。幼稚園の仕事を離れ休暇を取っての旅行です。私は、彼女たちの名前も顔も知りませんから、彼女たちは知らぬふりをしようと思えばできたはずです。しかもほかの園の園長です。素通りをしようと思えばできたはずです。

 しかし、彼女たちは自分から笑顔で元気にあいさつをしてくださいました。そのすがすがしさに私は心を打たれるとともに、東京からの仕事の電話一本で愚痴をこぼした自分自身が恥ずかしく思えました。

 仏教に、顔という字に施しと書いて「顔施」、自分から笑顔で人に接する布施がありますが、その大切さをこの幼稚園の先生方から教えられました。

9月1日~沖縄でのある出来事…2008年09月01日【79】

8月15日~口をついて出てくる言葉~

 お盆が終わりました。今年は、北京オリンピックもあって、ひときわにぎやかなお盆になりました。

 オリンピックでは、地元中国の応援あふれる中、大きなプレッシャーを抱えた日本人選手が精いっぱい健闘する姿がとても印象的でした。

 メダルに手が届いた選手、残念ながら届かなかった選手、期待されながら一・二回戦で敗退した選手さまざまですが、いずれの選手も、競技の内容はもちろんのこと、私には競技後の発言が日本人らしくすばらしく感じました。

 メダルに手が届いた選手たちは、「ここまで来られたのも応援してださった皆さんのおかげです」、「この喜びをこれまで支えてくださった方々と味わいたい」と話しました。敗退した選手たちも、「これまで支えてくださった皆さんに感謝したい」、また「応援してくださった方々に申し訳ない」と話しました。いずれの選手も、日本を代表する立派な選手たちだと、私は思いました。

 漢字の「恩」という字は、原因を心にとどめると書きますが、自分自身に、どのようなことがはたらき、今日現在の自分あるのか、その原因を心にとどめるということです。仏教では大きく分けて四つあるといわれます。

 一つはこの世に命を恵み育ててくれた両親の恩、二つにはさまざまなことを教えてくれた先生の恩、三つには日本という国で学び育つことができた国や社会の恩、四つには物心両面で支えてくれた人々の恩ということです。

 オリンピック選手が、あの世界の大舞台にたつまでにさまざまな支援があったことはおおよそ推測できます。試合後それらのご恩に対する感謝の言葉が、口をつくように出てくることが私はすばらしいと思いますし、テレビを通じてそれを聞く子どもたちに大変よい影響を与えてくれると思います。

 私の日暮らしには「恩」という陰の力がはたらいています。そのはたらきがあるからこそ人は生きていくことができます。オリンピック選手の一人ひとりの言葉に、そのことをあらためて教えられました。

8月15日~口をついて出てくる言葉~2008年08月17日【78】

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