こころの電話

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3月16日~今こそ、心を一つにして…

 春彼岸間近、ようやく暖かくなってきました。

 さて、三月十一日、三陸沖を震源に発生した東北地方太平洋沖地震は、国内観測史上最大のマグニチュード九,0、世界でも四番目という大地震で、私たちの予想を超える津波と火災によって多くの被災者が出ています。

 さらに、東京電力福島原発の爆発による避難指示も発令され、予断を許さない状況が続いています。

 東北・関東の広い地域において、多くの死傷者、行方不明者が出て、四十五万人以上の方々が避難生活を強いられています。被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。

 十七年前、阪神淡路大震災の惨状が思い返されます。当時、私も鹿児島別院の職員として直ちに現地に入りましたが、一瞬にして家族や家や財産を失い、呆然と立ち尽くす被災者の姿が今でも脳裏に焼き付いています。

 この度の地震は、それに加えて津波が数倍被害を大きくしました。人々が長年かけて築き上げてきた家や財産、家族も地域の人々も町並みも、大津波は一瞬にして跡形もなく飲み込みました。

 東北の港町を支えてきた豊かな漁場が、一瞬にして悪魔の海と姿を変えたのです。あまりにもむごすぎます。悲しすぎます。

 国難ともいうべきこの事態にあって、私たちに何ができるでしょうか。

 まずは、各家庭での節電です。福島原発の事故により、電力供給が滞っています。少しでも節電に努めましょう。

 また、西本願寺においても義援金活動が始まりました。各団体でも同様の活動が行われることでしょう。

 今こそ、心を一つにして、被災地に思いを寄せましょう。そして、思いを行動に移しましょう。一人ひとりできるところから、被災地の支援に努めましょう。

3月16日~今こそ、心を一つにして…2011年03月16日【140】

3月1日~幸せ感じるモノサシは…。

 三月は啓蟄、冬眠をしていた虫たちがいよいよ動き出します。

 さて、二月中旬、ブータン王国のケサン・チョゼン・ワンチュク王女が来日し、京都・西本願寺の宗門校である龍谷大学で講演をされたことが、新聞で報じられていました。

 ご存じの方も多いと思いますが、日本においては、国の豊かさを経済的な指標ではかるGNP・国民総生産で表しますが、ブータン王国においては、それをGNH・国民幸福度で表しています。

 これは、国の宗教である仏教の精神を根底にして、国民総生産のような物質的、金銭的な豊かさではなく、精神的、文化的な心の豊かさを目指そうとするものです。

 この心の豊かさという視点で今の日本をはかると、八歳から三十四歳の、子どもから若者を対象に行ったある調査では、世界十四カ国中、日本は飛び抜けて最下位だそうです。また別の調査では、百七十八カ国中九十位だったそうです。

 先月二十五日の南日本新聞には、昨年、日本青少年研究所が高校生を対象に行った調査で、「自分は価値のある人間だ」と思っている高校生はわずか七,五%、「自分を優秀ではない」と思っている高校生が八十三,二%と、日本の高校生は自分への肯定感が他の国の子どもよりも低いという結果が出ていました。

 人間の豊かさを経済や物質、また金銭的面からだけではかると、幸せを感じることのできない人はたくさん出てきます。また自由競争のモノサシだけで人を評価すると、自分に自信の持てない人や悩み苦しみを抱えざるを得ない人がたくさん生まれます。

 人が幸せを感じることのできる指標は決して経済的なものだけではありません。「思いやり」や「お陰さまの感謝の心」、「勇気」や「誠実な心」、そして「智恵や慈悲の心」。ブータンの国民は、人間がそれらを失ってはならないことを、私たちに教えてくれています。

3月1日~幸せ感じるモノサシは…。2011年02月27日【139】

2月16日~差別の心、知らず知らずに…

 雨水の季節、あたたかさに雪が溶けて雨になる時期です。

 さて、仏法をお聴聞することによって得られる功徳に、自らの差別心に気づかされるということがあります。

 差別の心とは、誤った価値観によって他のものに差をつけて取り扱ったり、正しい知識を持たないが故に、理由なく自分より劣ったものとして見たり、接したりすることをいいます。

 数年前のことです。鹿児島市内の山の上にある高級ホテルで知人の結婚式があり、私はタクシーでそのホテルに向かいました。

 ちょうどその日は大安ということもあり、結婚式の多い日でした。

 タクシーの運転手さんが私に言いました。「今日は結婚式が多いです。先ほども結婚式のお客さんでした。でもさっきは島の人で、下のホテルでしたけど…」

 何気ない会話でしたが、よく聞くと、「さっきは島の人で下のホテル」ということは、「今は山の上のホテルを目指しているので島の人ではない」ということになります。そして、鹿児島県にはたくさんの離島がありますので、多分、その方々を指して「島の人」と言い、その島の人は、上の高級ホテルではなく、下のホテルを利用するのが当然だという意味で話されたようです。

 私は、その言葉に強い憤りを感じ、「運転手さん、そんなことを言っちゃいけないですよ。島の人であろうがなかろうが、どこの人であろうが、上も下もないですよ」と、言いました。

 その後、ホテルに着くまで、タクシーの中は重苦しい雰囲気が続きました。

 しかし、この運転手さんだけではありません。この私も含めて、人間の心の中には、自分とは違うと誤った思いを持ったときに、差別の心が知らず知らずのうちにわいてきます。

 仏さまは、「そのようなあなたでいいのですか」と、いつも智恵のまなざしで厳しく見つめ、問いかけてくださいます。

2月16日~差別の心、知らず知らずに…2011年02月17日【138】

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