こころの電話

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5月15日~あせらず、比べず…。

 新年度がスタートし一ヵ月が過ぎました。新入生、新社会人の皆さんは、少し落ち着いたでしょうか。

 さて先日、テレビで柔道のバルセロナ五輪金メダリスト古賀稔彦さんが、弘前大学大学院の博士課程を修了し、医学博士の学位を授与されたニュースが流れていました。

 古賀さんの論文のテーマは「五月病」です。五月病とは、進学や就職など環境が大きく変わる季節に、新しい環境にうまく適応できず、五月の連休を過ぎた頃から鬱的な状態になることをいいます。

 古賀さんは、出身の日本体育大の男子柔道部員を対象に追跡調査を行い、高校三年の時に夏の大会後から練習を休むと、大学入学直後に意欲が低下する可能性があることを突き止め、その研究の結果、「五月病は対処法で改善できる」と言われています。

 環境が変わると、無自覚のうちに肉体的にも精神的にも疲れるもので、それに無理に適応しようとして、かえって心身に無理がくるのでしょう。

 無理をしない、踏ん張りすぎないことが大切なようです。仏教で言えば、「精進」ということでしょうか。

 精進とは仏道修行の一つですが、日常的な言葉で言うと、「あせらず、比べず、コツコツと励みましょう」ということです。

 新たな環境に入ると、いろんなことを覚えなければなりません。あせらずにゆっくり、そして誰も完璧にできる人なんていませんから、失敗をおそれず自分のペースで努めましょう。

 また新たな環境には、いろんな人がいることでしょう。するとついつい自分と周囲の人と比べてしまうのものです。比べるとつい、あせったり、力んだりします。比べるよりもお互いに心を割って力添えを頼みましょう。

 でもコツコツと無理のない範囲で少しずつ励みましょう。休むのも仕事のうちです。

 あせらず、比べず、コツコツと…。とても大切なことです。

5月15日~あせらず、比べず…。2012年05月06日【167】

4月16日~阿弥陀さまの大きな船に…。

 桜の花が強い春風に一気に散ってしまいました。

 さて今月三日、お仕事で、久しぶりにプロペラ機に乗って大阪へ向かいました。

 当日は大荒れの天気で、私の乗った小さなプロペラ機も大いに揺れました。

 隣に座るご婦人は肘置きをつかんで眉間にしわを寄せておられます。

 子ども連れのお母さんは、大泣きする子どもをしっかりと抱きしめて絶えておられます。ビジネスマンは、つかの間の休憩時間をゆっくり休むことができません。プロペラ機の中は、それぞれ不安と落ち着かない表情がありました。

 翌日の帰りも不安定なお天気でしたが、今度は大きなジェット機でした。

 すると、外は前日と変わらない大荒れのお天気なのですが、大きな飛行機の中は前日ほど大きく揺れることもなく、眠る人あり、新聞を読む人あり、音楽を聴く人あり、皆が安心して落ち着いた様子でした。

 私はその時、親鸞さまの、「阿弥陀如来の大きな船は、悩み苦しみ多きこの世界で生きる私たちを、必ず乗せてお浄土に渡して下さる」というお言葉を思い出しました。

 人の一生は悩み苦しみ多きものです。もし、阿弥陀如来の救いの船が小さければ、きっと搭乗者は大いに揺れてそこには安心がありません。逆に大きな船だと、搭乗者はすべてをおまかせして、ゆったりと安心した気持ちで過ごすことができます。親鸞さまは、阿弥陀様の救いのはたらきを、そのような大きな船にたとえておられるのです。

 大切なことは、それが亡くなってからのことでなく、生きている今の今、その大きな船に乗せていただいているということです。

 あなたはあなたのままでいい。そのままでいい。私はあなたにいつも寄り添い、見守り、あなたの一生を支えるから、安心して堂々と力強くこの人生を精いっぱい生きていきなさい。

 阿弥陀様の大きな船に乗ると、このような親さまのアナウンスが聞こえてくるのです。

4月16日~阿弥陀さまの大きな船に…。2012年04月22日【166】

4月1日~「人が育つ」とは…。

 春風に、満開の桜が揺れて、まぶしいくらいです。

 さて先月は、多くの学校で、お別れの場面が多く見られました。

 覚照寺が設立母体である幼稚園や保育園でも、たくさんの子どもたちが小学校に巣立っていきましたが、先月、このようなことがありました。

 ある日幼稚園へ、以前幼稚園を卒園して行った子どものご家族より電話がきました。

 「今から幼稚園に出向いていいですか」という問い合わせです。

 幼稚園の先生は、「どのようなご用件だろう」と思いながらも、「いいですよ、どうぞ」と応えたそうです。

 幼稚園には、卒園して小学生になった子どもとそのご家族、そしておばあちゃん、計五人が来られたそうです。

そして、「先生、この度、私たちはお仕事の都合で転勤することになりました。いよいよこの町ともお別れするときが来ましたが、その前に、この子が幼稚園に通っている間、お世話になり毎日お参りした幼稚園の仏さまにお礼のお参りに来ました。みんなでお参りをさせていただいてよろしいでしょうか」とおっしゃり、幼稚園の二階のホールにある阿弥陀如来さまに家族全員でお参りをされました。

 幼稚園の先生方も、とても暖かで和やかな空気に包まれたひとときだったそうです。

 「人が育つ、育てられる」とは、このようなことではないかと私は思いました。

 つまり「人が育つ」とは、「心が育つ」ということではないでしょうか。

 おばあちゃんのすすめによって、幼稚園を卒園した子どもが家族とともに仏さまに感謝のお参りをしました。きっと、このことは、その子どもの心の奥底に深く刻まれたことでしょう。そしてこの子の人生は、家族を始め多くの方々に支えられながら、生かされる喜びに溢れる心豊かな人生となることでしょう。

  幼稚園に勤める私たちも、有り難きお育てをいただきました。

4月1日~「人が育つ」とは…。2012年04月06日【165】

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