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7月16日~お寺は動物たちでいっぱい

 梅雨が明けないままに、毎日暑い日が続いています。

 さて先日、お寺の奥様方の勉強会が覺照寺であり、住職の私が講師を務めさせていただきました。

 講師と言っても、仏教の難しいお話ではなく、お寺の本堂には動物たちがいっぱいというお話でした。

 本堂のお内陣は、阿弥陀如来のお浄土の世界を、私たち人間が視覚で感じられるように形で表されたもので、お経には、そのお浄土の世界には、畜生といわれる獣類や鳥、魚、虫などはいないと説かれてはいるのですが、意外や意外、動物たちでいっぱいなのです。

 本堂の正面には、前卓といって大きな机がありますが、そこには、六羽の鳥たちと水鳥がたくさんいますし、その机の両脇からは龍が目を光らせています。

 その机の上には、ローソク立てがありますが、そこには鶴や亀、なんと鬼までいるのです。

 仏さまがお立ちになっている場所を宮殿と言いますが、その下の須弥壇というところには、百獣の王・獅子が美しい牡丹の花といっしょにいます。

 またその宮殿の屋根の部分には、これまた百獣の王・獅子とお鼻の長い象さんがいるのです。

 また、虎の足の形をした机や、鳥の鷺の足をした机があったり、海にいる蛸の足の形の金具や、螺と言われる灯火を付ける金具、海老の形をした梁や蟇股といわれる部材などもあって、お寺の中は動物たちでいっぱいなのです。

 これらは、お経に基づいて、お浄土で仏さまの教えを讃える役割をしたり、仏さまを護る役割をしたりするものもありますが、仏教が伝わってきた地域の影響を受けたり、大工さんや仏具屋さんの影響を受けたりしたものもあります。

 いずれにせよ、たくさんの動物たちも仏さまの教えをよろこび、仏さまを支えてくれている存在なのです。今度お寺にお参りに行かれたらよく見てみてください。

7月16日~お寺は動物たちでいっぱい2023年07月17日【432】

7月1日~蓮の清らかな花を見ながら…

 テレビやラジオで、毎日のように「線状降水帯」という言葉を耳にします。

 積乱雲が線状に次々に発生して、ほぼ同じ場所を通過もしくは停滞し続け、そこに大雨が発生するのですが、被害が出ないようにと願うことです。

 さて、大雨は困りますが、しとしとと降る雨にこの季節、美しく輝くのが蓮の花です。この蓮の花が仏教を象徴する花ということをご存じの方は多いと思います。

 お寺の仏さまやお仏壇の仏さまをよく見ると、必ず蓮の花の上に仏様は座って、あるいは立っておられます。

 蓮華に座ると書いて、蓮華座といいますが、それは仏さまや菩薩様の不思議な力や徳を表現しています。逆に言えば、仏さまあるいは菩薩さま以外は、だれも蓮華の花の上には立つこと、座ることはできないのです。

 蓮の花が根を下ろしているのは泥の中です。あの泥の水は、私たちの住むこの人間世界を表しています。一見すると人間の世界も悪くはないように思えますが、貪りと怒りと愚かさに満ちあふれた世界です。

 学校を出るとあっちの学校はレベルが高いの低いのという話が出てきます。会社に入ると出世を目指してノルマ達成の競争の日々が始まります。家を建てると他の家が気になってきます。宴席になると上座下座が気になります。そのような中で少しでも自分の立場を良くしよう見せようと、貪りや怒りや愚かさを繰り返し、苦しみや悲しみの中で生きる人間の世界を泥中に例えているのです。

 しかし、その泥中に根を張る蓮の花は立派で美しく、そして清らかな花を咲かせます。

 それは、泥中にありながら、その苦しみや悲しみから逃げるのではなく、その根本の原因をしっかりと見つめて、美しく清らかな真実の生き方を求め、必ず仏さまのさとりの花を咲かせることを意味しています。

 今年も、蓮の美しく清らかな花を見ながら、仏さまのみ教えを聞かせていただきましょう。

7月1日~蓮の清らかな花を見ながら…2023年07月01日【431】

6月16日~目も、鼻も、口も見えて

 梅雨明かりの空を見上げてほっとする日々です。

 さて、新型コロナウイルス感染症も徐々に収束し、マスクをされない方も見受けるようになりました。

 感染症にはまだ気をつけなければなりませんが、顔全体の表情が見えてお話ができることはよいことです。

 このようなお話があります。ある日のこと、顔の正面についている目と鼻と口がおしゃべりを始めました。

 「鼻さんはいいな、いつもおいしい食べ物の匂いがわかるから。私はいつも見てるだけだもん」と目が言いました。

 「何言ってんの。私なんかいつも匂いだけ。それに比べて口さんはご飯やお菓子を食べることができていいな」と鼻は言いました。

 「いやいや、私なんか食べ物をいつも放り込まれるだけ。味がわかるのは舌なの。私じゃないの」と口が言いました。

 目も鼻も口も、互いに相手をうらやましがって、最後は顔の中でケンカを始めてしまったそうです。

 このお話は、お互いにうらやましがって、文句や愚痴を言うことは慎みましょう。みんな一つ一つそれぞれが大切で、大事な役割があるのですよということを、幼い子どもたちにわかってもらうためのたとえ話ですが、これまでの三年間のマスク生活で目も鼻も口もそれぞれに、顔全体がお互いに見える大切さをあらためて気づかされたのではないでしょうか。

 「目は口ほどにものを言う」とは言われますが、マスクをして目だけ出たお顔ではその人の表情や気持ちはなかなか伝わりません。

 目も鼻も口もすべてが見えて、喜怒哀楽の表情や相手の気持ちも伝わるものであり、特に子どもに対してはお母さんお父さんのお顔の表情はとても大切です。

 感染症には気をつけつつ、大切にしたい事柄です。

6月16日~目も、鼻も、口も見えて2023年06月16日【430】

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