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4月16日~どこまでも苦労し続けてこそ…
春風駘蕩の心地よい日が続きます。
さて、私たちの日常生活にコンピューターが関わりを持つようになって久しくなりますが、昨今はAIといわれる人工知能やそれを使ったチャットロボットも導入され、世の中はさらに急激に変化しつつあります。
日本を代表する世界的な数学者の岡潔先生が、文化勲章を昭和天皇からお受けになった時のエピソードが先日読んだ本の中にありました。
陛下が、「岡さん、数学は計算が大変でしょう」と岡先生に問いかけられました。
「陛下、ご心配はいりません。計算はコンピューターに任せたらよろしゅうございます」
続いて陛下が、「そうだ、コンピューターがあるのか、じゃあ岡さん、数学って何かな」
「陛下、計算はコンピューターにおまかせ下さい。人間よりはるかに早くて間違いがありません。しかし、コンピューターにできないことがあるのです。それは、出なかった答えをでなかったと言ってやめてしまわずに、答えが出るまでどこまでも苦労し続けていくことです。それが数学の精神であります」
岡先生は昭和天皇にこのようにお話になり、天皇は「それはいい答えですね」と深く頷かれたと言います。
答えが出ないと言ってすぐにやめてしまうのではなく、その解決のためにコツコツと努力をするのが人間であり、コンピューターにはできないことであり、それが機械と人間との違いであるということです。
私たちの人生には、さまざまな苦難や問題がありますが、すぐにあきらめることなく、解決のために努力を惜しまない。どこまでも苦労し続けることは人間だからこそ。
心の隅にとどめておきたいお話です。
4月16日~どこまでも苦労し続けてこそ… | 2023年04月17日【426】
4月1日~「まあ、いいか」を繰り返していくと…
春風が心地よく感じます。
さて、それぞれの人が、それぞれの新しい道を歩み出す季節です。
新たなスタートですから、目標と情熱を持って選んだ道を進んでいってほしいと思います。
先般のWBC・ワールド・ベースボール・クラシックでは、日本代表の「侍ジャパン」が激戦の末、3大会ぶり3度目の優勝を果たしましたが、大リーガー・大谷翔平選手やダルビッシュ選手、日本代表では初の日系人選手となるラーズ・ヌートバー選手やメジャーに挑戦する吉田正尚選手というそうそうたるメンバーを率いたのが栗山英樹監督でした。
その栗山監督は、「『まあいいや』と考えたらその瞬間に成長を諦めたことになる」と述べています。
続いて、「言い方を変えれば、例外を作らないということになります。今日は疲れているからとか、明日の方が時間があるからとか、仕事や雑務を後周しにしてはいけません」と述べ、また「『これくらいなら、まあいいか』という思考は、私たちの生活にプラスをもたらしません」。『まあ、いいか』を繰り返していくと『良くないこと』に疑いを持たなくなり、やがては『まあ、いいか』が習慣化されてしまいます」とも話しておられます。
大切なことは、栗山監督はその考え方を周囲の選手に押しつけるのではなく、監督である自分自身に常に向けているということです。
「現在の自分をもって、足れりとすることなかれ」
私たちは、ともすると、まあこれでいいかとか、これくらいならまだましだ、この程度できてればいいかと、自分を甘く甘くしがちですが、侍ジャパンの優勝の裏には、栗山監督の自分自身に向けられた厳しい教えがあることがうかがえます。
「現在の自分をもって、足れりとすることなかれ」、新たな年度のスタートに際し、大切にしたい言葉です。
4月1日~「まあ、いいか」を繰り返していくと… | 2023年04月02日【425】
3月16日~昭和の教えが令和のグラウンドで…
一雨ごとに春めいてきます。
さて、野球の世界一を決める『ワールド・ベースボール・クラシック2023』で、日本チーム侍ジャパンが大活躍。先般、準々決勝戦でイタリアを破り、フロリダへと出発しました。
大谷選手やダルビッシュ選手をはじめそうそうたるメンバーがその実力を遺憾なく発揮していますが、特に注目を浴びているのが、この度、初の日系人選手として正式に日本代表に選出されたラーズ・ヌートバー選手です。
アメリカ人の父と日本人の母を持つハーフで、榎田 達治(えのきだ たつじ)の日本名を持ち、「たっちゃん」の愛称で親しまれています。
とても明るい性格の持ち主で、チームではムードメーカー的な役割で、他の選手が打撃で活躍した際には、ペッパーミルを回して祝い、それがチーム全体に広がっていました。
攻撃でも守備でも一生懸命な姿は、テレビ観戦をしていた私たちを魅了しましたが、私が素晴らしいなと思ったのは、応援に来ている観客席に向かって帽子を取り頭を幾度となく下げて感謝の気持ちを表す姿でした。
また、試合前に、各選手が幼い子どもにエスコートされて登場するときには、彼だけが子どもの背に合わせて腰を小さく曲げて寄り添い、子どもたちをやさしく導く彼の姿でした。
多くの人が、彼に惹かれるのは、今の日本人が忘れかけている礼節と、誠実さと、感謝の心を彼の姿に見たからではないかと思いました。
「しつけには厳しかったですよ。子どもの頃、三つのおきてがある。一つ、時間を守る。二つ、友達とは仲良くする。三つ、あいさつはちゃんとする。私、昭和の人間なんですよ。アメリカには昭和の時代に来たから。平成、令和は知らないの」と、お母さんである久美子さんはおっしゃっているそうです。
その昭和の教えがヌートバー選手を通して、令和のグラウンドで輝いています。
3月16日~昭和の教えが令和のグラウンドで… | 2023年03月18日【424】