8月16日~お盆の心世界へ馳せて
今年もお盆の法要が終わりました。
お寺でも初盆の合同法要、あるいは自宅での法要にたくさんの方々がお参りいただきました。
お盆は正式には「盂蘭盆会」と言い、お釈迦様のお弟子・目連尊者のお母さんが目連尊者を大切に育てるがあまりに、その自らの業によって、貪りのとがを表す餓鬼の世界に堕ちました。
そしてわが母を助けるために、目連尊者はお釈迦様の御許に走り、その教えによってお母さんが救われたという故事による行事です.
お盆はこの故事を通して、人間皆一人ひとり、親をはじめ多くのお育てをいただいていること。そしてそのご恩を感じたならば、周囲の方々に施しをすることの大切さを説いています。
このお盆は、日本の一夏の仏教行事ではありますが、そこに説かれていることは、日本のみならず今の国際社会においても大切なことを諭しています。
現在、世界の至る所で、武力や暴力による争いが起きています。また人やお金や物が自由に飛び交うグローバル化した経済活動は多くのいのちを傷つけ、将来的に地球の存亡に関わる問題をもはらんでいます。
多くの武力紛争はもとより、ルールなき経済活動は世界の悲惨な現状や苦しみ、悲しみを生み出しており、それは決して私たちの生活とは無関係ではありません。
お釈迦さまの教えは、自らのいのちが周囲の多くのいのちによって支えられ、育まれ、生かされていることへの気づきをもたらします。
そしてその自覚は、自分だけよければいいという自己中心的で恐ろしい欲望を自ら抑えること、合わせて周囲のすべてのものへの思いやりと施しを勧めるのです。
思いやりとは、同じいのちを恵まれたものとして、共に喜び共に悲しむ立場に立たせていただくことです。
近くは身近な家族から、遠くは世界まで、合掌の心で思いをはせて見るのも大切なことです。
2014年08月15日【222】