7月1日~落としゃせぬぞぇ 火の中に…
関東地方では、ゲリラ豪雨や雹が降り、さらに突風も吹いて、大きな被害にならないことを願います。
さて、六月中旬、宮崎において九州のお寺の代表者による研修会があり、出席しました。
二日目の朝、お勤めの後、宮崎の椎葉村にあるお寺のご住職の法話がありました。
椎葉村は宮崎県の北西部にある人口約二九〇〇人の村で、交通の便が大変悪く、急激に過疎化が進む村で、その地域に西本願寺のお寺が六カ寺あるそうです。
そのご住職は、地域の様子や過疎化が進む中でお寺を護持することの大変さをお話しくださいましたが、最後に、その地域に残る民謡・稗搗節を実際に歌って紹介くださいました。
といっても、ただの稗搗節ではありません。お念仏のみ教えの味わいの替え歌です。
おどま 自在鉤 仏でござるよ~
落としゃせぬぞえ 火の中によ
こんなご縁がもう一度あればよ~
弥陀のおかげか ありがたいな~
実際にその歌声を聞いていただけないのが残念です。
自在鉤とは、ご承知の通り囲炉裏や竈の上から吊して、鍋や釜を自在に上下させるカギのことですが、それを阿弥陀さまに喩えて、煩悩を持った罪深き私たちを必ず救って、火の燃えたぎる地獄に決して落とすことはないという阿弥陀さまの救いの誓いを詠ったものです。
そして、お念仏のみ教えを聞くご縁を心から喜んで、さらにそのご縁がもう一度あることを心から願って、阿弥陀さまに感謝の心を詠ったものです。
ゆっくりとした時間が流れる中で、生活の中にある道具からもお念仏のみ教えを味わうことのできる心の豊かさと深さを感じます。
毎日齷齪している現代人には味わうことが難しい、お念仏のみ教えに育まれる情緒豊かな感性とも言えましょう。
忙しい中にも、僅かな時間を取って、仏法を味わう時間を持ちましょう。
2014年06月30日【219】