2月16日~暖かな光とぬくもりを待って…。
暦の上では立春は過ぎましたが、外はまだまだ冷たい風が吹いています。
東北地方や北海道では記録的な積雪と暴風で、心よりお見舞い申し上げます。
立春とは一年間を二十四に分けた二十四節気の第一に当たり、この立春から立夏までのことを春と呼びます。ですから立春とは、春が始まった第一日目ということになります。
節分にはこの立春、立夏、立秋、立冬とありますが、マスコミなどでひときわ立春が大きく扱われがちなのは、やはり暖かな春を待ち望む人々の心の表れでありましょう。
人間の感覚は不思議なもので、厳しくつらい期間、あるいは堪え忍ぶ期間は、同じ時間でも長く感じるものです。
雪が多い北国では毎日の雪かきの作業は危険が伴いご苦労も多いことでしょう。どんよりとした雲が長く立ちこめる地域では光がとぼしく、人の心までも滅入ってしまうものです。
春になると草木に宿る芽がそのときを待ち焦がれいっせいに芽吹くように、人が暖かな風と光を待ち焦がれるのは当然のことかもしれません。
人間は、冷たい世界、暗い世界には耐えられないものです。ぬくもりのない世界、光のない世界では誰しも生きてはいけないのです。
そのことは人間の体だけではなく心も同様でありましょう。
自分自身の心が固い殻で包まれて、光が閉ざされ、優しさや思いやり、ぬくもりのない生活をしていては、まことの幸せを感じることは少ないはずです。
自分自身の心に燦々と光が差し込み、暖かでさわやかな風が吹き込んでこそ、人は心を思いきり開いて力強く生きていくことができます。
その光こそ仏さまの智慧の光です。その暖かでさわやかな春風こそ如来様の慈悲の風です。
暖かな光に照らされぬくもりにあふれた日暮らしは、ひとえに仏法聴聞から始まります。
2015年02月17日【234】