5月1日~悲しむべき傷むべきこと
韓国の珍島沖で発生した旅客船・セウォル号の沈没事故は、未来を担う多くの青少年が命を失い、まだ多くの行方不明者がおられます。
一刻も早く家族のもとへ帰ってほしいと願わずにはおれません。犠牲になった方々へ心からお見舞い申し上げます。
安全や危機管理の面から人災が濃厚だと連日報道されています。
事故の原因については調査中で、また韓国での事故ですので軽々に論じてはなりませんが、報道による限りこの悲惨で痛ましい事故が、子どもたちをあたたかく見守るはずの大人の無責任な姿勢によって発生し、子どもたちを正しき方向へ導くはずの大人の誤った行動によって、多くの若者の命が失われたことを、誠に悲しく思います。
社会にあって、子どもたちを常にあたたかく見守り、正しき方向へと導くのは年長者、つまり大人の役目です。
世の中には思うようにならないことがたくさんあって、さらに様々な危険が至る所に潜んでいることを教えるのは大人の仕事です。だからこそ、日頃からの注意や点検を怠らないように導くのも大人の仕事です。
さらに、もし思うようにならなくなったとき、あるいは自らに危険が及んだときは、慌てずに冷静な判断力でそれを回避することを教え導くのも大人の仕事です。
しかし、この度の事故はどうでしょうか。
船の荷物の積載量をはじめ日常の運行のあり方も基準をはるかに超えており、ライフジャケットや救命ボートにも不備があったようです。船長をはじめ事故直後の乗組員の行動にも怒りを感ぜずにはおれません。
この度の事故と犠牲が、子どもたちを正しい方向へと導かねばならぬ大人の無責任と過失によって引き起こされたことが、誠に悲しむべき傷むべきことであります。
お経の中に、「先に生まれんものは後を導き」とありますが、仏道のことだけに限らず、それが日常の生活の中にあることを心に深く刻みたいと思います。
2014年05月01日【215】