2014年1月1日~ともにこれ凡夫ならくのみ
新年明けまして、おめでとうございます。
今年も、仏さまのみ教えを聴聞し、まことのしあわせに満ちた日暮らしをさせていただきましょう。
新年にあたり、一つの言葉をご紹介します。
「われかならず聖になるにあらず、かれかならず愚かなるにあらず、ともにこれ凡夫ならくのみ」
ご存じの方も多いと思いますが、これは親鸞聖人が、日本において仏教を広めた主として敬われた、聖徳太子の「憲法十七条」に出てくる文言です。
人はそれぞれに思いとらわれるところがあり、意見が合わなかったり、人が従わないことがある。しかし、自分自身もすべての物事の道理に通じた者ではない。相手も必ずしも愚か者ではない。人はともに凡夫なばかりである。
紹介した文言はこのような意味ですが、 凡夫とは、仏教の真理に目ざめることなく、欲望や執着などの煩悩に支配されて生きている人間のことをいいます。
「ただひと」とも読みますから、すべての人ということになりましょう。
昨年を顧みますと、政治や国際情勢など、たくさんの意見の衝突や紛争がありました。
議論を交わしたうえで、社会がよき方向へと向かうのはよいことでしょうが、逆に意見の衝突が感情的になり角を突き合わせ、互いに武器を持ち緊張と牽制に明け暮れ、仕舞いに人が傷つけ合うようなことになることは絶対に避けなければなりません。
お互いに、道理である、事実であるといっても、その道理や事実の見方や受け止め方によって主張が異なることもあるのです。
聖徳太子がいわれるように、決して相手だけではない。自らも含めて、人は皆、煩悩に支配されて生きる凡夫であるという自覚が必要であり、それを知らしめる教えが必要です。
一人ひとりがよくよく心して、和やかで明るい社会をつくって参りましょう。
2013年12月31日【207】