10月1日~まさしく「今でしょ!」
一年を七十二の季節で区切ると、今は「蟄虫培戸・むし かくれて とを ふさぐ」。早くも虫たちは冬ごもりの準備に入ります。
さて、私たちの日常生活の中で、大切なことは早めに行っておいたほうがよいことを促す言葉に、「早し良し ちょうど良し危うし 遅し悪し」というものがあります。
「大切なことは早めにやっておくことが一番良い。締め切りに合わせて行うことは危ういことがあるかもしれません。遅れて間に合わないことは取り返しが付きませんよ」ということです。
「法事は命日より遅らせてはいけないが、早めに行うのはよい」という人がいますが、これは人間の都合によって大切な命日の法事を遅らせては、粗末になって申しわけないという戒めでありましょう。
この言葉は、私たちの仏法聴聞についても同様のことが言えます。
先般、お寺にいらした女性が、せっかくお彼岸でお寺の法要にまいろうと出かけたら近所の人から、『また極楽行きの道作りですか』といかにも暇人のように言われました。残念ですね」と、おっしゃいました。
お寺では、死にまつわる話をするから元気なうちはまだ聞かなくてもいい。お寺は、勤めも終わって時間ができた年寄りが行くところだと、おっしゃる方もおられますが、お寺でのご法話は、死にまつわる話よりも、私の人生で死ぬまでになすべきことは何か。真に心豊かな人生を送るにはどのような生き方が大切かということが主題です。
仏さまは私たちの生命は、予測困難だと諭されます。それを無常といいます。
ですから私の人生の問題、私がこの世に生命を恵まれた意味、そして人生の本当の目標を聞くのは今しかありません。
まさしく「今でしょ」。
お寺での仏法聴聞は早し良しです。ちょうど良しは危ういかもしれません。遅しは…言わずもがなです。
2013年10月01日【201】