2013年7月1日~人生根底から支える力を…。
空梅雨と思っていたら長雨に…。梅雨らしい天候が続きます。
さて、最近本屋さんに「力」という文字がつく本が沢山並んでいます。
「考える力」「聞く力」「生きる力」「伝える力」「話す力」「稼ぐ力」などなど。それぞれの著者がその経験を通して、生活の中で役立つヒントを記しています。
浄土真宗で力のつく言葉といえば、「他力」です。
他力といえば、他人の力を借りるという意味で、依存主義や怠け主義を象徴する言葉として理解されがちですが、それは誤った受け取り方で、本来浄土真宗の教えを聞かれている方は絶対にそのような意味では用いません。
「他力というは如来の本願力なり」と親鸞さまが述べておられるように、他力とは、「いつでも、どこでも、どのようなときでも、私はあなたの人生を絶対に支えます。だから逃げることなく、ごまかすことなく力いっぱい精いっぱい生きぬきなさい」とはたらきかけてくださる、阿弥陀如来の本願のことです。
この本願のお心は、よく母親の心に喩えられます。
母親は、いつでも、どこにいても、どのようなときでも、わが子どものことを案じ通し、願い通し、心配し通しです。
そして毎日、自分のことよりも子ども第一と、子どもの身の回りのことをするのに精いっぱいです。
一人の人間がこの世に生まれてから大人になるまでには、様々な悩みや苦しみ、また不安を抱えながら成長するわけですが、その子どもの人生を根底から支える母親の願いがあるからこそ、子どもに安心があるのであり、その絆に支えられてこそ、子どもは様々な難関を乗り越えていく力に恵まれるのです。
他力とは、この母親の願いに喩えられる阿弥陀如来の尊いお心であり、まさしく今の今、私の人生を根底から支える智慧と慈悲にあふれる力のことであります。
そのはたらきを聞き、その力をより所とするところに、まことの安心と喜びに満ちた力強い人生が開かれるのです。
2013年06月29日【195】