7月1日~蓮の清らかな花を見ながら…
テレビやラジオで、毎日のように「線状降水帯」という言葉を耳にします。
積乱雲が線状に次々に発生して、ほぼ同じ場所を通過もしくは停滞し続け、そこに大雨が発生するのですが、被害が出ないようにと願うことです。
さて、大雨は困りますが、しとしとと降る雨にこの季節、美しく輝くのが蓮の花です。この蓮の花が仏教を象徴する花ということをご存じの方は多いと思います。
お寺の仏さまやお仏壇の仏さまをよく見ると、必ず蓮の花の上に仏様は座って、あるいは立っておられます。
蓮華に座ると書いて、蓮華座といいますが、それは仏さまや菩薩様の不思議な力や徳を表現しています。逆に言えば、仏さまあるいは菩薩さま以外は、だれも蓮華の花の上には立つこと、座ることはできないのです。
蓮の花が根を下ろしているのは泥の中です。あの泥の水は、私たちの住むこの人間世界を表しています。一見すると人間の世界も悪くはないように思えますが、貪りと怒りと愚かさに満ちあふれた世界です。
学校を出るとあっちの学校はレベルが高いの低いのという話が出てきます。会社に入ると出世を目指してノルマ達成の競争の日々が始まります。家を建てると他の家が気になってきます。宴席になると上座下座が気になります。そのような中で少しでも自分の立場を良くしよう見せようと、貪りや怒りや愚かさを繰り返し、苦しみや悲しみの中で生きる人間の世界を泥中に例えているのです。
しかし、その泥中に根を張る蓮の花は立派で美しく、そして清らかな花を咲かせます。
それは、泥中にありながら、その苦しみや悲しみから逃げるのではなく、その根本の原因をしっかりと見つめて、美しく清らかな真実の生き方を求め、必ず仏さまのさとりの花を咲かせることを意味しています。
今年も、蓮の美しく清らかな花を見ながら、仏さまのみ教えを聞かせていただきましょう。
2023年07月01日【431】