5月1日~敬う教えを持つ大切さ
薫る風に、元気をいただく季節です。
さて、先月三十日、お寺で仏前結婚式がありました。
新郎はアメリカ人のDさん、新婦は日本人のBさんの国際結婚です。引き続き披露宴でもご挨拶をさせていただきましたが、仏教にまつわるこのようなお話をしました。
さて、この結婚披露宴のことを昔から「華燭の典」と申しますが、これは仏教を開かれたお釈迦さまがご在世の当時、インドであったある出来事に由来するそうです。
インドのある街で、花を売って歩く少女と、燭台に使う油を売って歩く少年がいました。二人ともに大変貧しい家庭の子供だったそうです。
感心なことにこの少年は、一日の仕事が終わると、お釈迦さまの前に行き、お灯明をささげてお参りをして帰ったそうです。また少女も毎日、お釈迦さまの前に行って、お花を一輪お供えして、手を合わせて帰って行ったそうです。
やがて毎日のように街で行き交い、自然に顔見知りになった若い二人の間には、ほのかな愛の心が芽生えました。
この様子を常々見ていたお釈迦さまは、この二人こそ似合いの、理想の夫婦になると思い、お釈迦さま自らの中立ちで、二人の縁結びを行ったと言われます。そしてこの二人は、互いに協力して幸福な家庭を築き、生涯、大変幸せに暮らすことができたと伝えられます。
ここから、少女がお供えした華と、少年がお供えした蝋燭の燭・ともしびという字をとって「華燭」という言葉が生まれ、結婚式のことを、最高に飾られた祝賀の儀式という意味で、華燭の典と呼ぶようになったと言われます。
お釈迦さまは、この二人の尊きご縁を通して、まことの幸せは、お金や物質的なものでは決して得られないことを示されました。そして、この二人の花を供え、灯火を供える行為を通して、敬う心と教えを持つことの大切さをおすすめになりました。
お二人が、仏さまの教えと願いにかなった、喜び多い、心豊かな人生を送られますよう念じます。
2023年05月03日【427】