7月1日~如来さまの救急車
大変短い梅雨が明けて、毎日暑い日が続いています。
昨日六月三十日の東京都内の救急車の出動件数は三一五〇件で、一日の出動件数としては過去二番目に多いそうで、熱中症による搬送者が急増したのが主な要因だそうです。
あの救急車のサイレンを耳にすると、搬送されていかれる方の無事を案ぜずにはおれません。
皆さんは、あの救急車の「救急」という言葉は、如来さまのお慈悲の心からとったものであることをご存じでしょうか。元来仏教では、「きゅうきゅう」ではなく「くきゅう」と読むのですが、善導大師という中国のお坊さんが、「救急の大悲」と言われ、何が縁となって、どっちに向かうかわからない危なっかしい私を心配して、いつでも、どこでも、常にはたらいていてくださる阿弥陀さまのお慈悲の心を示されています。
ただ、救急車と、救急の大悲と違うところは、救急車は電話をかけて呼ばないと私の所へは来てくれませんが、如来さまが私を救おうとする救急の大悲は、私が呼びもしていないのに、サイレンを鳴らしながら私のもとへ来てくださっているということです。
貪りや怒りや迷いの心に日々病んでいるのに、それに気づかない私の病気を先に見ぬいて、そのサイレンが耳に届いていながら、なかなか聞こうとしない私を、この今も心配してはたらいておられるのです。有り難いことです。
今度、浄土真宗のお寺に行かれたならばご本尊をよくご覧ください。浄土真宗のお寺の本尊・阿弥陀如来は必ずお立っておられ、さらに、そのお姿を横から見ると必ず前のめりになっておられます。
煩悩を抱えた私たちを見ていると、うかうか座ってなどいられない。如来さまの方から真っ先に、私を救うために駆けつけてきてくださっている。まさしく、このお姿こそ、如来さまの大悲のお心を表しているのです。
2022年07月01日【407】