4月1日~人間とはどのような生き物か
新年度新たなスタートというのに、ウクライナの様子が報道されるたびに心が痛みます。
昔々、インドのある国に起きた出来事です。
あるとき、その国に毒を含んだ大雨が降りました。その雨にうたれると、七日の間、気がおかしくなってしまうのです。
前もってそのことを知っていたその国の王様は、急いで家来たちに知らせようとしましたが、間に合わず家来たちはその雨にうたれ、また飲んでしまいました。 そして家来たちは気がおかしくなり、皆裸になって踊り出し、王様のいる宮殿に押しかけました。
宮殿にいた王様を見て、家来たちは叫びました。「大変だ、王様は気がおかしくなられた。服を着ておられるぞ」。正気ではない家来たちから見ると、服を着ている王様の方がおかしく見えるわけです。
賢明な王様は機転を利かして、「そうか、私は気がおかしくなったらしい。急いで薬を飲もう」と言って、薬を飲むまねをして、そして服をぬぎ、家来たちとともに踊り、家来たちは自分たちと同じ姿の王様を見て安心しました。
七日後、ようやく毒水の効果も無くなり、家来たちは正気にもどりました。そして自分の裸の姿に驚いて慌てて服を着ました。再び王様の姿を見て家来たちは騒ぎ出しました。「大変だ。王様が裸でおられるぞ。気がおかしくなられた」。
王様は家来たちに言いました。「私は大丈夫だ。今までおまえたちに合わせていただけだ。みんなが正気に戻ったようだから、私もそろそろ服を着よう」。
その国は再び、もとどおりの平和な国になりました。
このお話は、多数の人が正しい、賛成だと言っても、それが間違っている場合もあることを教えています。
逆に、多数の人が間違っていると思っていても、権力の座にいる一人の人間の偏った思いで、皆が悲しみ苦しむことにもなります。
人間とはどのような生き物か、常に聞かせていただく教えが大事なようです。
2022年04月02日【401】