7月1日~まだ足りないまだ足りない!
「今年はよく雨が降りましたね」。これが最近のあいさつ言葉です。
さて、先日読んだ本の中に餓鬼のことが書いてありました。餓鬼とは仏教で説かれる迷いの世界にいる存在です。
地獄よりも少し上にあって、生前に貪りの心にとらわれ施すことを知らなかった者が堕ちる世界と言われます。
この餓鬼には三つのタイプがあるそうです。
一つ目は「無財餓鬼」といって、字の通りまったく財産を持たない餓鬼です。
着る服もなく食べ物も持ちません。ひもじくて道に落ちている馬糞まで食べようとするのですが、口に持っていくとたちまち炎となって燃えてしまい食べることができず、飢えの苦しみを負わなくてはなりません。
二つ目は「少財餓鬼」といって、文字通り少しの財産を持った餓鬼です。とは言っても、糞尿や残飯などしか食べることができません。
最後は「多財餓鬼」で、これは多くの財産をもった餓鬼で、今風に言えばセレブな餓鬼です。
豪華な家に住み、別荘まで持って、運転手付きの車で思うがままに送り迎え、ご飯も日本料理、中華、フランス、イタリア、何でもござれです。
またこの多財餓鬼は、餓鬼の世界だけでなくいろんな世界に行くこともできるそうで、もしかしたら私たちの人間の世界にもいるかもしれません。
こんなセレブな餓鬼が何の苦しみを負うのかが問題です。それは、足ることを知ることのない苦しみです。
いくら豪華な生活をしても、どれほどおいしいものを食べてもまだ足りないまだ足りないと満足できず、ついには人の物までも手を出してしまいます。
自分でもっているもの、与えられたもので満足できないとき、人は餓鬼になってしまうのです。
先日、退職された東京都のお偉いさんにも聞いていただきたいお話です。いえいえそういう私も聞かせていただきます。
2016年07月02日【264】