7月1日~罰は当たるか当たらぬか…
今年の梅雨は、殊の外よく降ります。
さて、幼い頃、おじいさんやおばあさんから、「そんな悪いことをしたら罰が当たるよ」と言われたことがある人も多いと思います。仏様は罰を与えるような方ではないのですが、きっと戒めの一つとして言われたのでしょう。
今、NHKの大河ドラマ「龍馬伝」が好評ですが、その坂本龍馬の師匠である勝海舟が、ある日、家で本を読んでいるとき、その家の勝手を知った弟子たちがどかどかと上がり込み、酒を飲み始めたそうです。
しばらくすると勝海舟の耳に弟子たちの話し声が聞こえてきました。
「世間で言う罰など当たりはせん。神社の狛犬にしょんべんをひっかけてみたが、これこの通り何も起こらん。ピンピンしているぜ」
「罰などたわごと、迷信迷信」
そのとき激しく襖が開きました。
「バカモン、罰当たりな犬ども出て行け、犬ども出て行け」
それは勝海舟でした。
「罰なんぞ当たらんだと。おまえたちにはとうに罰が当たっているではないか。その証拠におまえたちはすでに人間じゃない。犬にされているじゃないか。人間なら神社の狛犬にしょんべんひっかけるなど、とうていできやしねえ。おまえたちは犬だ。とうに犬だ。さあ、出て行った出て行った」
勝海舟が落とした雷に、弟子たちはただただひれ伏すばかりだったと言います。 私たちも、この弟子たちの行為まではないにしても、誰も見ていないから、どうせ知られることはないから、罰など当たりはしないからと、ときに人の道に外れた行いをしていることはないでしょうか。
罰が当たる当たらないではなく、結果がどうのこうのではなく、人の道に外れた行いをしているそのとき、すでにその人は人でなくなっていることを、勝海舟は教えてくれています。
(参考・現代法話実用大宝典)
2010年07月01日【123】